3dプリンターのラフト・ブリム・スカートとは?活用と使い分けガイド

query_builder 2025/05/30
新着情報
著者:株式会社テクニカラー
30 3dプリンター ラフト ブリム

3Dプリンターで「最初の1層目が汚い」「土台が剥がれない」「スカートの意味がよくわからない」そんな造形トラブルに悩んでいませんか?

 

3Dプリントの安定性は、ラフトやブリム、スカートといった土台設定によって大きく左右されます。特にベッドとの接着やノズルの温度、レベリングの微調整に関しては、少しの誤差がモデル全体の仕上がりに影響を及ぼすのです。

 

本記事では、初心者から業務ユーザーまで対応できる「用途別プリント土台の選び方」や、「造形トラブルの回避法」「定着不良を起こさないベストなスカート・ブリム設定」まで解説します。

 

最後まで読むと、失敗の可能性をグッと減らし、より美しい印刷品質と安定した造形成功率が手に入ります。

 

3Dプリンターで実現する高品質なプラスチック試作 - 株式会社テクニカラー

株式会社テクニカラーは、プラスチック試作品の製作を専門とし、あらゆる業界の製品開発を支援しています。光造形、粉末造形、金属造形、熱溶解積層造形、インクジェット造形、マルチジェットフュージョン造形など、幅広い3Dプリンターを活用し、形状や用途に応じた最適な製作方法をご提案いたします。短納期対応や量産向けの精密試作にも柔軟に対応しており、設計段階から製品化まで一貫したサポート体制を整えています。高品質かつスピーディーなサービスで、お客様のイメージを形にするお手伝いをいたします。

株式会社テクニカラー
株式会社テクニカラー
住所 〒330-0064埼玉県さいたま市浦和区岸町6-8-13-2
電話 048-678-9107

お問い合わせ

3Dプリンターの基礎用語!土台のラフト・ブリムとスカート

3Dプリンターの「ラフト」と「ブリム」は、造形物の土台を安定させるための補助機能です。ラフトはモデルの下に網状の土台を作り、反りを防ぎつつベッドへの定着を助けます。一方、ブリムはモデルの底の周囲に薄い広がりを付け、端が浮きにくくなります。どちらも印刷の成功率を高めるために使いますが、造形後は取り外す必要があります。

 

ラフト(Raft)とは?剥がれやすい造形物を支える基盤

 

ラフトは、3Dプリンターでの出力において、モデルの下に印刷される一種の土台です。このラフトは、造形物とビルドプレート(造形プレート)との間に敷かれることで、定着性を高め、出力の安定性を向上させる役割を担っています。特にABSのように収縮性が高く反りやすい材料や、底面積が狭くて定着しづらい形状のモデルには、ラフトの利用が効果的です。

 

ラフトの構造は通常、ビルドプレートに対して数層のフィラメントを印刷し、その上にモデルが乗る形で出力されます。この構造により、多少ベッドが水平でなくてもラフトが歪みを吸収し、モデルの底面精度を保ちながら安定した出力が可能となります。

 

ただし、ラフトには明確なデメリットも存在します。ラフト除去の手間がかかること、またラフト自体に多くのフィラメントを消費するため、材料コストが増加する点は無視できません。加えて、表面の仕上がりに影響を与える可能性もあるため、フィギュアや精密部品の出力には不向きなこともあります。

 

したがって、ラフトの使用判断は「モデルの形状」「使用する材料の特性」「ベッドのレベリング状況」「最終仕上がりの必要精度」など、複数の要因を総合的に見て決定することが大切です。

 

ブリム(Brim)とは?反り防止に効果的なプリント外周

 

ブリムは、造形物の底部から外側に数レイヤーのフィラメントを延ばして形成される外周補助構造です。これは、モデルとビルドプレートの接着面を広げることで、造形中に発生しやすい「反り(ワープ)」を防止する目的で使用されます。特に角が鋭利な形状や、底面積が小さいモデル、ABSやPETGなどの高温で印刷される収縮率の高いフィラメントを使う際に、その効果が顕著に現れます。

 

ブリムの大きな特徴は、モデルの底部全体ではなく、その外周にだけ接触している点にあります。このため、ラフトのようにモデルの下に複数層の基盤を敷くわけではなく、出力時間や材料消費量を抑えながらも反りを軽減できるというバランスのとれた手法です。

 

ブリムの除去は比較的簡単ですが、ノズル温度やビルドプレート温度が高すぎると、モデルと強く密着しすぎて剥がしにくくなるケースもあります

 

また、ブリムは見た目にも影響を及ぼします。例えば、フィギュアや展示品など、出力物の美観が重視される場合には、ブリム除去後に底部のバリ処理が必要になることがあります。そのため、ブリム使用後の仕上げ工程も視野に入れた設計が求められます。

 

さらに、ブリムはモデルの安定性を高める効果もあり、特に高速印刷やレイヤー速度の変化が大きい設定を行う場合に重宝されます。ビルドプレートのレベリングが完全でないときでも、ブリムがクッションの役割を果たし、造形物のズレや脱落を防ぐ助けにもなります。

 

このように、ブリムはフィラメントの無駄を最小限に抑えながらも、モデルの反りや失敗を防ぐための有効な手段として、多くの3Dプリントユーザーにとって基本かつ重要な設定です。適切なライン数と幅を設定することで、誰でも簡単に造形精度と成功率を大幅に向上させることができます。

 

スカート(Skirt)とは?プリント前のノズル安定に最適

 

スカートとは、3Dプリンターの出力前にノズル周辺の安定性を確認するために、モデルの外周に接触しないように印刷される“枠線”のことを指します。ラフトやブリムとは異なり、スカートは造形物に直接関与せず、主にノズルの状態確認やフィラメントのスムーズな吐出

 

スカートは、以下のような目的で設けられる非常に重要な補助構造です。

 

  • ノズルのフィラメント流出状態をチェックし、造形開始時のムラや詰まりを防ぐ
  • ノズルやヒートブロックの温度が適切かどうかを確認する
  • フィラメントの色や素材が前回から変更されている場合に、混ざりを排出する

 

スカートの最大の利点は、造形物に直接影響を与えない点にあります。除去の必要がなく、出力成功率を高めるために必要な初期準備が自動的に行えるため、初心者でも扱いやすい機能です。また、ノズルが正しく加熱されていない、または前回の造形でフィラメントがノズル先端に固着していた場合など、印刷初期にありがちな失敗を回避するのに非常に効果的です。

 

特にスカートは、次のようなシーンで活躍します。

 

  • 色付きフィラメントを使用する際に、前回の色との混在を防ぐ
  • 長時間プリントを行う大型造形で、最初の失敗を避ける
  • デュアルノズルプリンターでノズルごとの切り替え時に押し出しを安定させる

 

ただし、スカートはあくまで“補助”の役割であり、接着性や反り対策には不向きです。あくまでノズルチェックと初期出力の安定性確保を目的として使用するべきであり、ベッドへの接着力を求める場合にはブリムやラフトを併用する必要があります。

 

初心者向け・まずはスカートから始める3Dプリント術

3Dプリンターに初めて触れる方にとって、造形の成功率を上げるための「初期設定」は極めて重要です。なかでも「スカート」は、初心者に最も適したプリント土台として知られており、その理由はシンプルかつ効果的な造形補助機能にあります。

 

スカートは造形物の外周に沿って1〜3周ほど、モデルから離れた位置にフィラメントを薄く印刷するラインです。3Dプリンターのノズルからフィラメントが安定して押し出されるかを確認する目的で利用され、実際のモデルには接触しません。この「最初の調整」の役割により、初心者でも失敗を避けた安定した造形が可能になります。

 

「なぜスカートが初心者向けなのか?」「ブリムやラフトと何が違うのか?」「実際にどう設定すればよいか?」という疑問を持たれる方も多いでしょう。以下でそれぞれのポイントを整理していきます。

 

まず第一に、スカートは他の補助土台に比べて取り扱いが圧倒的に簡単です。ラフトのように土台を取り除く必要がなく、ブリムのようにモデルに接触しないため、除去や仕上げ作業が不要です。これにより、プリント後の処理が発生せず、印刷作業の流れがスムーズになります。

 

次に、プリント前のノズルの状態確認ができるという点が初心者にはありがたい機能です。たとえば、ノズルの詰まりやフィラメントの出だし不良といった問題は、1層目の造形失敗につながる原因となります。スカートによってその兆候を事前に検出できることで、最初の造形失敗を大きく減らせます。

 

3dプリンター設定例

 

プリント土台種類 スカート
推奨周回数 2〜3周
ノズルとの距離 6〜10mm
層数(高さ) 1層のみ
使用素材例 PLA、ABS、TPUすべて対応可
利点 ノズルの吐出確認、ベッド温度確認、初期精度安定

 

補助機能スカートが活きる場面

 

  1. 3Dプリンターの購入直後の初期設定時
     プリントの基本動作を確認する段階で、スカートによってノズルとベッドの状態をチェックできます。
  2. 新しいフィラメントに切り替えた直後
     フィラメントごとに押出温度や粘度が異なるため、吐出状況を見極めるためにスカートが有効です。
  3. ベッドの水平調整後のテスト出力
     レベリング(水平調整)を行ったあとの初回造形で、造形前にベッド密着の状態を確認できます。
  4. 小型造形物の出力時
     ブリムやラフトを使うほどの密着強化が不要な場合、スカートだけで十分な安定性が確保できます。

 

特にPLA(ポリ乳酸)やTPU(ポリウレタン樹脂)など低収縮性・高安定性素材との相性が良く、初心者でもストレスなく使える点が魅力です。反面、反りや剥がれやすい素材(ABSなど)では効果が限定的になる場合があるため、素材特性による判断も重要です。

 

また、スカートは出力時間に大きな影響を与えないため、プリント全体の効率にも貢献します。これにより、初めて3Dプリンターに触れるユーザーでも、「失敗を恐れず何度も試す」ことができる環境を整えることができます。

 

スカート設定は、Curaなら「ビルドプレート接着タイプ」の設定から「スカート」を選択し、周回数や距離を入力するだけで完了します。

 

スカートは目立たず、出力後の後処理も不要なため、出力物の外観を損なうことなく、精度・安定性・効率を底上げしてくれる優れたツールです。これから3Dプリントを始める方は、まずスカートを活用した造形から取り組んでみることを強くおすすめいたします。

 

1層目が剥がれる原因はこれ!3Dプリンターにおけるラフト・ブリムの重要性

ラフトやブリムといった補助機能を使わないと、1層目が造形中にベッドから剥がれる「1層目剥がれ」が起こりやすくなります。これにより印刷物がずれたり、全体が失敗する原因になります。特にABS樹脂など反りやすい材料や、接地面積が小さいモデルではリスクが高まります。ラフトやブリムはベッドへの密着性を高め、安定した造形を助けるため、使用しない場合は十分なベッドレベリングや接着対策が必要です。

 

1層目が乱れる原因の多くは、ベッドのレベリング不良とノズルおよびベッドの温度設定ミスに起因します。その際ラフトやブリムを使うことで効果的に防止できます。特にABSや接地面が小さいモデルでは有効です。これらを活用すれば1層目の失敗を減らし、造形成功率が向上します。

 

ただし「1層目が汚い」問題は複合的な要素が絡むため、各項目を1つずつ検証しながら調整していくことが成功への近道です。ノズル温度を通常設定より5〜10℃高めにし、材料の溶けを良くして接着力を向上させます。ベッド温度も材料に応じて調整し、例えばPLA(ポリ乳酸)では60℃前後、ABSでは90〜110℃が適しています。ファーストレイヤーのレイヤー高さを0.2〜0.3mm程度に設定すると、広い接地面が得られて安定性が増します。また、押出し倍率(フロー)を105〜110%程度に上げることで、初層の密着性を高められます。

 

またファーストレイヤーの印刷速度は20〜30mm/s程度と遅めに設定し、フィラメントが確実にベッドに密着するようにします。造形失敗が繰り返される場合はZ軸オフセットの微調整も忘れずに確認しましょう。±0.05mm程度の調整だけでフィラメントの押し出し精度が大きく改善され、1層目の整形が劇的に向上するケースがあります。

 

1層目の汚れやズレは見た目以上に造形全体へ悪影響を与えるため、事前準備とベッド調整の重要性を常に意識しましょう。

 

まとめ

3Dプリンターの出力において、土台となる「ラフト」「ブリム」「スカート」の設定は、造形の成功率と品質に直結する極めて重要な要素です。

 

今後も造形品質と効率を高めたいと考える方にとって、本記事は実用性と再現性に優れた内容となっています。もしこれまで土台の設定をなんとなくで済ませていたなら、今こそ見直しのタイミングです。

 

放置すれば、材料や時間を無駄にし、作業コストもかさみます。正しい知識と設定を身につけ、確実に失敗を減らすステップを踏み出しましょう。

 

3Dプリンターで実現する高品質なプラスチック試作 - 株式会社テクニカラー

株式会社テクニカラーは、プラスチック試作品の製作を専門とし、あらゆる業界の製品開発を支援しています。光造形、粉末造形、金属造形、熱溶解積層造形、インクジェット造形、マルチジェットフュージョン造形など、幅広い3Dプリンターを活用し、形状や用途に応じた最適な製作方法をご提案いたします。短納期対応や量産向けの精密試作にも柔軟に対応しており、設計段階から製品化まで一貫したサポート体制を整えています。高品質かつスピーディーなサービスで、お客様のイメージを形にするお手伝いをいたします。

株式会社テクニカラー
株式会社テクニカラー
住所 〒330-0064埼玉県さいたま市浦和区岸町6-8-13-2
電話 048-678-9107

お問い合わせ

よくある質問

Q. ラフトが剥がれない場合、専用の除去ツールは必要ですか?
A. はい、ラフトがしっかりベッドに接着している場合、スクレーパーだけで無理に外そうとすると造形物やプレートを破損する危険があります。このような場合には、柔らかいシリコン製のスクレーパーや温度調整可能なヒートガンを併用すると、剥がれやすくなります。

 

会社概要

会社名・・・株式会社テクニカラー
所在地・・・〒330-0064 埼玉県さいたま市浦和区岸町6-8-13-2
電話番号・・・048-678-9107

記事検索

NEW

  • 3dプリンターにおける防振マットの効果的な設置方法と振動対策ポイント

    query_builder 2025/07/06
  • 3Dプリンターで高温に強い耐熱材料の選び方を比較解説

    query_builder 2025/06/30
  • 3dプリンターの耐用年数の実態と長持ちのコツを解説

    query_builder 2025/06/24
  • 3dプリンターにおけるブリムの効果と使い方

    query_builder 2025/06/18
  • 3dプリンターにおけるスティックのり掃除術!反り対策から選び方まで徹底解説

    query_builder 2025/06/12

CATEGORY

ARCHIVE